行政書士事務所の選び方

行政書士経験年数は長いか

 まず、一番最初に意識しなければならないのは、依頼しようと思っている事務所の行政書士について、経験が長いのが浅いのかです。 行政書士の経験年数を知る一つの材料として、行政書士登録番号(8桁)があります。一度確認してみてください。 もし、登録番号を尋ねてみて、そらで答えられない行政書士ならば、そもそも業務をあまりやっていないのでしょう。 普通に行政書士業を営んでおれば、いろんなところで自身の行政書士登録番号を書類等に記載する場面が出てくるからです。 また、「登録番号」と所属する行政書士会での「会員番号」(4桁)とを混同している行政書士もいますが、この違いが分かっていない人も怪しいです。 登録番号を知ることができたら、その上2桁を確認してください。この数値が行政書士登録をした年(西暦)の下2桁を表しています。 例として登録番号が06301351の場合は、2006年登録となります。

専業で行政書士業を営んでいるのか

 行政書士登録をしてからの年数が分かっても、実際に行政書士業を営んでいるかどうかというのはまた別問題になります。 元公務員だった人で行政書士登録をしているが、実際には年金生活者で行政書士業務はほとんどしたことがないという人もけっこうな数おられます。 なぜこのよう人がいるかといえば、行政書士になるには「合格率数パーセントの試験に合格する」というルートのほかに「公務員(現業は除く)を一定の年数務める」というルートもあるからです。 それぞれ「試験合格組」「公務員上がり」と呼ばれたりしています。そして、後者の場合、無試験で行政書士登録が可能ではありますが、無試験ゆえに、そもそも行政書士業務を行ううえで直接必要となってくる民法、商法、行政法その他の法律を今までに学んだ経験がない人が多いのも事実です。 また、本業は他の仕事であり、行政書士は登録しているだけの状態という人もいます(※弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を有する者は、行政書士登録ができることになっています)。 行政書士は専門職です。実際に専業で行政書士業を営んでいる行政書士なのか、登録はしているが実際には行政書士業務はほとんどしていない人なのか、そこは重要です。

価格設定が安すぎないか

 上で書いたような専業で行政書士業を営んでいるわけではない人の中には、一般では考えられないような破格の価格設定にしている人もいます。 そもそも行政書士を生業としておらず、別の仕事の客寄せ目的として行政書士業務を利用していたり、また、趣味や道楽としてたまにお小遣いが入るだけで満足、はたまた「何らかの肩書がほしい」というような動機で登録している人達でしょう。 このようなところに業務を依頼して、満足のいくクオリティは期待できるはずありません。 その他、経験の少ない人や新人行政書士に、「仕事が取れないから」という理由で、世間の相場の範囲より一段、二段下げた価格設定にしている人がよくいます。 しかし、このような値下げは、直接、業務の質の低下につながります。 採算を考えると、金額が低い分、1つの案件に労力をかけるわけにはいかないからです。お客様に負担を課してでも、行政書士自身の負担は少なくしなければなりませんし、作成書類のチェックもおろそかになるでしょう。お客様へのアフターフォローなどもしているわけにはいきません。 結局、安い価格設定のところには、それなりの質しか期待できないということです。

依頼しようといしている業務について実績があるか

 行政書士というのは、扱える業務の範囲がかなり広いため、自然と業務の中に専門分野、得意分野と、そうでない分野ができてきます。 依頼しようと思っている業務分野に関して、精通しているということもあれば、全く知識がないということもあるでしょう。 「勉強のために安く仕事を受けさせてもらいます」というようなことを言う行政書士もいますが、そもそも、業務を依頼する目的はお客様の抱えている問題を解決するためであり、決して行政書士に勉強をさせてあげるためにお金を払うのではありません。 業務の失敗は行政書士にとっては経験になるかもしれませんが、お客様にとっては、取り返しのつかない損害につながります。 必ずしも経験のある業務でなければ、業務を完遂できないというものではありませんが、業務の中でも特に専門的な知識が問われる分野もありますので、行政書士を選ぶときには確認が必要です。

入国管理局申請取次届出済か

 行政書士が入管(入国管理局)関係の業務を取り扱う場合は、一定の研修を受けたうえで入国管理局申請取次届出を済ませていなければなりません。 もし、外国人の招へい、在留資格の更新、変更等、入管関係の業務を行政書士に依頼しようと思うときは、行政書士が入国管理局申請取次の「届出済証明書」(通称ピンクカード)を持っているかどうか確認してください。 ちなみに、外国人を対象とした業務でも、帰化申請については管轄が入管ではなく法務局ですので、入国管理局申請取次というのはそもそも関係がありません。 たまに「ウチは申請取次持ってますので、帰化申請業務もできますよ」と説明したりする行政書士がいますが、このような説明をすること自体、経験のなさを表しているようなものです。

保険に加入しているか

 世の中の様々な事業の中には、事業を始めるあたって保険に加入しておかなければならない業種があります(介護事業、運送事業、その他)。 そして行政書士にも、依頼者に損害を与えたとき、それを補填する為の保険として「行政書士賠償責任保険」というものが用意されています。 しかし、この保険は行政書士事務所を開業するにあたって加入義務があるものではなく、行政書士事務所の中でも保険に入っている事務所と入ってない事務所があります。 さて、仮に、依頼者がある行政書士事務所に業務を依頼して、その目的が達成されず逆に多大な損害が発生したとしましょう。 その場合、行政書士に責任があったとしても、その行政書士に賠償能力があるかどうかはわかりません。結果、損害がそっくりそのまま依頼者に降りかかってくることにもなりかねません。 実際には、保険を使うような場面が発生することはあまりないと思いますが、一般に、プロ意識の高い行政書士事務所ほど保険料をケチったりせず、きちんと保険に加入しているものです。

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